離職防止のプロジェクト Sansan!
皆様は、Sansanという会社をご存知でしょうか?
クラウド名刺管理サービスの企画、開発、販売を行っているSansanも、ユニークな社内制度を取り入れている企業です。
制度の内容だけでなく、制度のネーミングがユニークなのもSansanの特徴です。
たとえば、社長と社員数名でランチをする制度は「テランチ」、在宅勤務制度は「イエーイ」、平日に休みが欲しいときに土日と出勤日の振替ができる「どにーちょ」などです。
なぜこのような施策を打ったのか?
それは、この会社の離職防止に直結すると考えたからです。
●早期離職が出る理由
早期離職者が出てしまう理由をいくつか紹介します。
早期離職者が多い場合には、このなかのどれか、もしくは複数の要因が当てはまっている可能性があります。
採用のミスマッチ
日本の企業の多くは、「メンバーシップ型雇用」と呼ばれる雇用制度を採用しています。
これは年功序列や終身雇用を前提としており、勤務地・職務範囲を限定せず、雇用してから社員教育や仕事の割り振りをおこなうことが特徴です。
つまり、企業側が社員の意思に関係なく仕事内容を自由に決めることができるため、新入社員が「やりたかった仕事と違う」と思って辞めてしまう可能性があります。
特に、希望した部署へ行けなかった場合には不満が増幅しやすくなってしまい、こうした採用のミスマッチは早期離職が多い理由のひとつになります。
●給与や福利厚生に対する不満
給与や福利厚生に対する不満も、早期離職者が出てしまう理由として挙げられます。
たとえば、業務内容に対して給与が安い職場や、交通費や家族手当・育児補助などの福利厚生が充実していない職場は、社員から不満を抱かれやすい傾向にあります。
給与や福利厚生は自身の生活に直接影響してくるため、このまま働き続けることに将来の不安を感じてしまうのです。
こうした理由から、もっと条件の良い仕事に就きたいと感じて早期に辞めてしまうケースが増えています。
●不十分な人材育成環境
入社時に新入社員に対する教育体制が不十分なことも、早期離職者が増える理由です。新入社員に対する研修が少なかったり、満足できる内容でなかったりすると、今後働いていくうえで不安を感じてしまいます。
また、日々の業務でフィードバックがないなど人材育成の環境が不十分だと、社員が仕事に対するモチベーションを保てなくなります。
「これ以上この職場にいても能力を活かせない」「成長できない」と感じてしまいやすくなり、その結果として早期離職が生じてしまうのです。
●長い労働時間
長時間労働が当たり前になっている職場は、社員が体力的・精神的な負担を感じやすく、早期離職が生じやすい環境になります。
業種によっては時期によって繁忙期があることや、人手不足などによって長時間労働を余儀なくされる場合もあります。
しかし、長時間労働による過労死や病気、ブラック企業などの話題をインターネットやテレビなどのメディアで見ている人も多いです。
そのなかには「長時間労働=ブラック企業」とみなす人もいるため、早期離職を考える人も出てきてしまいます。
●早期離職が多いことで予想される企業へのデメリット
早期離職が増えることで、企業へのさまざまなデメリットが予想されます。
具体的にどのようなデメリットが発生するのか、詳しく解説していきます。
●優秀な人材を失う
採用の段階でいくら優秀な人材を確保しても、労働環境が悪いと思われてしまえば早期離職につながります。
労働環境の悪い職場では仕事の効率も悪くなるケースが多く、優秀な人ほどその状況に耐えられなくなってきます。
優秀な人材が職場環境の改善を試みても、改善が見られないと判断した場合には、諦めて会社を辞めてしまう可能性が高いです。
また、優秀な人材であれば、すぐに次の職場を見つけることも難しくないため、辞めやすいことも要因です。
●経費が余計にかかる
企業側が社員にかけた採用コストや人材育成コストは、早期離職されることによってすべて無駄になってしまいます。
さらに、早期離職者の欠員補充のために、次に入社してくる社員への採用コストや人材育成コストなどが必要となり、余計な経費がかかってきます。
人が出入りすると人員調整などの人事労務コストもかかり、人の出入りが激しくなるほどその負担は大きくなってきます。
●社内の士気が下がる
会社の仕事は多くの場合、チームで行っています。
早期離職者が多く頻繁に人の入れ替えがあると、チーム内での仕事の連携が上手くいかなくなってきます。
仕事の引き継ぎや新人教育に手間がかかることで、本来なら実務に充てるはずだった時間を使うことになり、業務の進みが悪くなるのです。
実務に成果が出ないことで、社内全体の士気が下がってしまうおそれがあります。
また、新人教育をする側の指導者も、早期離職者が増えてくると「一生懸命仕事を教えても、またすぐに辞めてしまうのでは」と考えてしまうでしょう。
新人の指導にも熱意がなくなってしまい、さらに早期離職者が増えていくといった悪循環に陥る可能性が出てきます。
●クライアントからの信用を失う
取引は企業同士でやり取りしているとはいえ、クライアントや提携先は相手企業の担当者を信用して取引をしている場合が多いです。
取引に至るまでには、お互いの企業の担当者が積み上げてきた信頼関係があります。
これまで取引が続けられていたのは、担当者である1人の社員への信用のおかげであることも多いです。
その社員が辞めてしまった途端、取引自体がなくなるケースもあり、会社にとっては大きな損失となります。